GRADUATION/草野大悟2
 
って、常識は、都合が悪くなると姿を暗ます。そして、人畜無害の日常が戻ってきたときに、何事もなかったような顔をして姿を現し、みんなを自分の鋳型に填めようとする。そのことに気づいている人はそう少なくはない。むしろ多いとさえ言える。それでも、そんな人たちでも、すんなりと常識を迎え入れ、すんなりと鋳型の人になっていく。不思議だ。

 常識はいろんな色をしている。
 ちなみに、ぼくの常識の世界では、鳥は空を飛ばず地上を走り回っているし、蜥蜴や猪や魚は空を泳いでいる。
 あなたの常識の色はどんな色をしているのだろう。
 尋ねてみた。
「ハァ? 常識の色? 何寝惚けたこと言ってんの! そこどいてよ、
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