透明な統計表/前田ふむふむ
きない
むろん 死者にふれることもできない
さらにいえば
死者の名前を呼ぶこともできないのだ
世界が虚空をはぎとり
彼らの出自を たんねんに訪ねると
彼らは すこしずつ色合いを際立たせるが
そうすることによって
彼らは ますます
かたく甲羅のなかに隠れるだろう
そして
記憶が老いて 地平線の底に沈むまで
限りなく
彼らの視線の高さで
一度も避けることなく
血のように
わたしをみているのだ
3
そこにいる
眠れる数字を
アサガオと言おう
もし
それがアサガオでなければ
きみは誰だ
でも
アサガオにしては
蔓がな
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