今日の水に寄せて/
そらの珊瑚
うまれたての水のつめたさで
細胞のいくつかはよみがえる
けれど
それは錯覚で
時は決してさかのぼらない
この朝は昨日に似ていても
まっさらな朝である
それでも
あなたの水は
六月のさなかにあって
清涼そのもの
小さなさかなの群れ
さざ波は永遠を真似た反復記号
戯れてひとときの命を生きる
救命ボートの舳先は丸く
この手はすべりおちてゆく
えら呼吸が出来たらいいのに
どこへむかうのか、水
たぶんそれは少しかたむいてゆく明日のほうへ
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