海辺のカソカ/ただのみきや
*小樽カントリークラブ
空は灰 まだらに吠え
泥めく海 見渡すかぎりの獣
分厚い風を羽織り
霧雨でぬれた頬
それでもゴルフ
おそらく
たぶん
見るからに
上手くはない老紳士たち
月曜日の朝
カモメも斜めに回り込むような
この場所以外
誰も歩いていない
バス停に老婆がひとり
磯の匂い
*空き家
くさいきれまとい
かすかな羽音 ふたつみつかすめ
空き家は 古ぼけた 四角い髑髏
日差しに 白く煤け
陥没した屋根
漏れ滴るしずく 黒く汚れ
思考の永久停止
抜け出て行った記憶と その 残り滓
放置されたまま
腐食し続
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