波/ゼロハチ
 
あなたがあの夜話そうとしたこと

わたしは聞かなかった

朝になり、あなたはこの世界からいなくなった


あなたが名前を教えてと言っていたこと

わたしは教えなかった

夜が訪れる前に、あなたもこの世界からいなくなってしまった


こんな風に、いなくなってしまう

ぬくもりも、手のひらからすぐに消えていった


あなたたちは、私にとって全てだったのに



わたしなんかが朝を迎え
わたしなんかが夜に佇む

毎日毎日、命を食いつぶして

わたしはどうして生きているのだろう


わたしは今もくりかえしている

二度と触れられることもない
[次のページ]
戻る   Point(2)