吉原幸子(その「病」について)/ベンジャミン
 
  「純粋とはこの世でひとつの病気です」

            (吉原幸子詩集オンディーヌより)



吉原幸子の詩を語ろうとするとき、僕はよく「病的な」という言葉を使う。
その美しさを語るときにも「病的に美しい」と言い、色にたとえるなら「病的な白」だと言う。しかしそれは、実のところ彼女自身が抱えていた「病」とはまったく関係がないことに、僕は気づいている。

では、その「病」とは何なのかと問われたら、僕は「それは僕の病です」と答えるだろう。彼女の詩を読むと、僕は自分の病を自覚せずにはいられないからだ。冒頭で引用した一節は、彼女の詩が純粋だと言いたくて記したわけではない。むしろ
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