秘密のラッコ隊/ただのみきや
 
だった
特別な意味を含むような丁寧さと
大人のそれではなく子供の精一杯
それくらいの力で
リズミカルに刻む
緻密で昆虫的 幾何学模様
全く言葉なんて


物分かりのいい犬のように顔色を伺う
やさしい醜さが良薬だった
賞味期限切れの病死人ミイラ
青酸カリーライス
薄めに薄めた死の上澄みへ
次々と恋人は飛び降りた 列車から
ビルから 脳から 回転木馬から
花弁みたいにヒラヒラと


職務質問する警察官にも似た良心に取り憑かれ
不感症の拘束衣を着せられた
生真面なパフォーマンス集団の肉の歯車の軋み
そのラジオ体操の真顔な下手くそさは
月に一度しか会うことを許
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