詩人の誕生/岡部淳太郎
 
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次から次へと変りゆく時を見つめながら
その人は喉の中に川の流れをつくる
あまりにも清浄な川
汚されることのない
やがて世界の海へとそそぐ明日を夢想する
細い川

歌が降ってくる
思い出のように
歌が降ってくる

あるいは祝福のように
あるいは怨嗟のように

呪われた詩人よ
おまえは誕生する
ただ歌え
熱い いまだ夢の中のような
苦しい目醒めの中で



(二〇〇五年三月)
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