真白な記憶、落下、ああ、二度だけ鳴る。/ホロウ・シカエルボク
ようなものがなかった、それがあっただろう場所はただのっぺりとした丸みのある頭の一部だった、観察はそこまでだ―とでもいうように痛みはさらに激しくなり始めた、骨に達したのだ、俺にはそれがわかった、身体の中で鳴り続けていたぐずぐずという音に、カチカチという音が混じり始めたのだ、骨にも痛覚がある、俺はそのときそれを知った、こらえていた悲鳴がいつの間にか口を突いて出た、それが最期の合図だった、待ち構えていた虫共が俺の口から入り込み、食道へと潜り込んだ、俺は涙を流し、窒息し、吐き出そうとした、でも数が多過ぎた、何匹かは下まで降りることが出来ずに目玉を押しのけながらもう一度這い出してきた、体内でいくつかの線がぶちぶちと切れる音がした、涙と涎と血と体液でドロドロになりながら俺は息絶えた、そして骨まで食い尽くされた、最後に残った目玉を、二匹の甲虫が慎重に突っついた、それは派手な音を立てて割れた、白濁色の液体があたりに飛散した、まるで、クラッカーが弾けたみたいにさ…。
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