真白な記憶、落下、ああ、二度だけ鳴る。/ホロウ・シカエルボク
俺はゆっくりと落下していた、だがそれはもしかしたらあまりに高くから落ちているので、ゆっくりと落ちているように感じているだけかもしれなかった、全身を包むように猛烈な勢いで吹き抜けている風が、「もしかしたらそうなのかもしれない」ということを唯一感じさせた、それは感情のない落下だった、あまりにも感情のない落下だった、目覚めたばかりの身体をそのまま引っ掴まれて投げ出されたみたいな落下だった、視覚だけが覚醒している、そんな状態に似ていた、だが俺は眠ってはいなかったし、眠りたいという気持ちもなかった、それまで何をしていたのか思い出せなかった、ただ放り出されて落下しているだけだった、怖れも不安もなかった、つ
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