解放の日/ヒヤシンス
解放の日、森に朝霧流れ、緑の木々が薄青に沁みている。
貴方の透き通った声が森に響き、鳥たちは讃美歌を歌っている。
まったく突然に新しき日々が訪れた。
それは過去を失った人々にも同じ事。
どこからともなく白い天使が舞い集う。
天使は竪琴の女神に寄り添い、鳥たちの歌声を花環で飾る。
貴方の声が霧と共に流れ、私のテラスにやってきた。
ささやかな朝だ。
私は一人テラスに腰掛け、貴方の声と鳥たちの歌声を聴いている。
音楽は自然の中から生まれ自然の中へと消えてゆく。
天使と女神の出現は私から一時の消失を忘れさせる。
深い悲しみは霧のようにやがて去る
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