水の城 /そらの珊瑚
 
さざなみが産まれるところ
透きとおりながら
かすかに揺れる城が
月明りを映している

とうめいであることは
ない、ことではないよ
ないことにするには
醒める必要がある


にじむ光は
溶けだした心に似ている
やがて広がってゆけば
哀しみもうすくなる

ひんやりとして
でも凍ることのない
水という流動体だけの意思で
形作られてゆく城は
何者も模倣しない丸みを帯びて

夢は
醒めてしまえば夢だったと知る
現実はいつ醒めるのだろう

戻る   Point(13)