水の城 /
そらの珊瑚
さざなみが産まれるところ
透きとおりながら
かすかに揺れる城が
月明りを映している
とうめいであることは
ない、ことではないよ
ないことにするには
醒める必要がある
にじむ光は
溶けだした心に似ている
やがて広がってゆけば
哀しみもうすくなる
ひんやりとして
でも凍ることのない
水という流動体だけの意思で
形作られてゆく城は
何者も模倣しない丸みを帯びて
夢は
醒めてしまえば夢だったと知る
現実はいつ醒めるのだろう
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