夢の口/卯月とわ子
膨らんだ夢がわたしを喰らう
その大きく赤い口で
ガブリとひと口
鋭い歯が見えたでしょう
あれで傷をつけられてしまったら
もう誰も立ち上がれないわ
震える手を隠す必要なんて無いのに
貴方はいつも後ろに手を組んで
わたしに笑って見せている
だからわたしは嘘吐きになってしまうの
恐いものなんて無いわ、大丈夫よって
そんなの嘘よ
だって恐いものばかり目に飛び込んでくるんだから
一番怖いのがその夢よ
大きく膨らんでしまったソレは
いつわたしを飲み込もうかと待っている
貴方の後ろにも同じものが見えるわ
恐いのでしょう
わたしは恐いわ
だからいつも手が震えている
朝が来ても覚めない夢は
わたしを幸福になんてしてはくれない
貴方も同じでしょう
きっと
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