雨が降ってる/ボビーD
 
雨がひとしきり降る朝
空を眺めるお偉いさんが一人
鈍色の空から落ちてくる水滴は
液体にしては痛い
液体にしては不随意だ
液体にしては不誠実だ
頭の悪いお偉いさんは頷いている
これが雨というものだ
これが正しい季節で

梅雨というものだ



鈍色の空は凶悪な笑いを見せ
お偉いさんはこれこそ正義だと
天に唾を吐きながら喚いている
液体は区別ない
液体に形はない
液体は不誠実だ
頭の悪いお偉いさんは頷いている
これは雨というものだ
この雨の中で生きるのだ
これが正しい世界で

梅雨というものだ



お偉いさんに反対するものはいない
お偉
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