最初にもらった手紙を読みながら世界の終わりを待つ/竜門勇気
 
見てたような気がしてる
今日も例外じゃないってことだ

止まったエスカレーターの
最初の一歩
なんか変だよな
おかしくて笑うよな

何かに気づいたようで
それはすぐに過ぎ去る
そしてどこにでも有る
歩みが始まる

屋上の鍵を壊して
意味なくパンダを蹴飛ばしてみる
綿菓子を作る機械を
引き倒して哄笑を起こしながら跪く
観覧車のゴンドラに
君を押し込んで
僕は手紙を読みふける

世界の終わり
ここにこい
向かいの席で
同行者は眠りだした

星は光でしか無い
ビルも光でしか無い
手紙の中の文字も
同行者の寝息も

1時45分 世界の終わりが到着
同行者がにゃあと鳴く
光がないのに
闇が見える

ここにないものしか
欲しがれない
望まなかった場所にしか
帰れない
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