最初にもらった手紙を読みながら世界の終わりを待つ/竜門勇気
22時半 同行者を連れ
紅茶を飲みながら
車を運転する
行き先はまだ
できてはいない
ただ材料だけが
煮込まれてる
ハンドルにこびりついた
パンくずが
指先に触れて
膝に舞った
こじれたでたらめ
僕らの関係性は
そんな風になら
例えられるんだぜ
閉じた窓に
風が吹き付ける
冷たい場所から
凍えてきたのに
どこにも居場所はない
今こうしてるのも
あそこが帰る場所だって
思ってみたいからだけなのかもな
黒いガラスに
灰色の石をぶつける
真夜中のテレビみたいな
光が踊って消えた
何処かにたどり着くときには
いつもこんな光景を
見て
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