dawn squall/むぎのようこ
くちびるで食んで
とおくのあまおとを咀嚼する
溢れたにびいろの
くもは真上のそらにすくって
退屈な羽音が落下する
ゆるやかな日射し
あわい虹の弧をなぞった
声は幾重もの空鳴り
ラベリングされた現象を
すり抜けては降り注ぐ
したたった声に塗りつぶされた
足元の余白
さめるときには、指きり
わずらうばかりに
跳ねたつまさきの飛沫
ひたひたとまとわる皮膚の
もどかしい熱
ふられるままの身すら脱げ
あやうい傾きの月に
寄り添った雲間
加速する鼓動をなぞる舌
熟れていくやわさ
掬いとった視線
消しあうあまおとの、声の、
しらむ間に
隠しごと拾い上げて
のみくだすカルキ滲んだ薄紅、
心地よいけだるい
ちいさい
白いはこの中で閉塞する呼吸
いとわしいしめりけを
あらい射すひかり、
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