羽虫の闇/ホロウ・シカエルボク
 

毛細血管をノイズが這い回る、無数の羽虫のように…俺の感覚を喰らい尽くそうと目論んでる、二二時の朦朧とした時間―悲鳴には飽きたし、怒りには慣れた、愚痴には興味が無い、まるで水溜りのように俺はそれを放置している、体内の…体内の腐敗や違和感はもはや関心ごとではなくなった、どんなものでもいいのだ、それが身体を動かしていることに変わりはないのだから、ただ、阿呆のように水を飲み下す、手元にはいつでもそれが用意してある、遠い昔、誰かがブラウン管の中で喋っているのを聞いたんだ、「水さえ飲んでいれば人間は生きていられる」そんな話さ―もちろんそれが、ただただ肉体的な条件であることには疑う余地がない、もちろん精神に
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