夕方、きみをみつめるとき/草野春心
 
の肉塊なのだろうか

  *

  夕方 きみをみつめるとき
  それだけでは終われないのだ
  遠い時間をなつかしむように  
  ことばのもつれを指でほどいて

  ハモニカの薄あかいしらべが
  わたしのなかのけだものを吠えさす
  畏れの横で邪気のない悦びがねむる
  未来にも或いは 過去にも
  わたしたちはもう居ないだろう

  ひとつの歌をうたうように
  心は 振るえながら近づいていく
  だがそれだけで終われないのだ
  夕方 きみをみつめるとき}


戻る   Point(2)