夕方、きみをみつめるとき/草野春心
 
{引用=  ビニル箱がバイオレットに並び・はや私は夜に気づく
  (高円寺南三丁目の夜)
   バイオレットにビニル箱が廻り・はや私は夜に気づく
   (水晶体の所有する夜)
    ビニル箱がならび まわり・ふくらみ・尖りして
    (わたしに ゆるされた よる)

  *

  すべてそれらは
  すべて 視覚らにかんして
  幾層もの玉葱的トートロジーを連れてくる
  じっさい現代的な皮膜だ
  (私たちに気づかない)

  けれどもそれらは時をつらぬいて
  光る できごとたちの
  (親であり子でもある)
  グロテスクな 現在という
  なまの肉
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