荒地としろくま/
そらの珊瑚
おひさまと雨に愛された
やわらかなこの地と
地続きだったはずの
荒地をなつかしむ
わたしは
奇跡的にそこで芽を出した
小さな花のこぼれ種
運良くここまで風に運ばれて
のんきに咲いている
風のたよりは時にかなしい
しろくまの死を
告げられた朝
根こそぎこの身ごと
荒地へと帰り
その凍ってゆくままの
はがねのような体毛に
突き刺されながら
ともに冷たく
埋もれたい
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