ダフネー/本田憲嵩
 
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水のせせらぎのかぼそく落ちてゆく音の
さらさらとそよぐ 細い川が立っている
あるいは川面に映る 黒髪のなびく樹木の体幹
水面を揺らす風の冷ややかさでつるりと象られた
細ながい球根の輪郭だ
その黒い枝葉は 星の川で 夜の森の奥底へと接続されている
つやのある蟻のように瞳は円らで
まるで揺らめく水瑪瑙だ
そこにも小さな光の星が落ちている
川を下るように君という樹木を下ってゆく
苔生した
浅瀬のけぶる

   2

さらさらと
声の葉が いつまでもせせらぎ続けている
水のしずくのかぼそく落ちてゆく幹の
きらめく細い川が立っている


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