繭町/むぎのようこ
眠っている街のせほねをなぜていった
風をみていた
髪の毛の先
産まれたての星をやどした
ひとみにも
ひとしく均された夜が降りてきた
つま先立ちの白線に血がかよう
弾性を綴じたアスファルトが熱をうばいあって
町を生かす
静けさを透明な手のひらが
すくって、
いつか
明けていくものの窓辺
わからない素振りで
拐かすことにも
なれて、あとはやわく
野になるばかりの
しずけさが
細かなうぶ毛になって
ささやかにささる
爪でなぞって
あかつきを目蓋に飼う
あとから、あとから、
うつくしかった
ことにして
振り返らない
ぜいたくをして
溢したひかりをあわせ鏡に
とじこめたまま
はばたかない
街、
戻る 編 削 Point(13)