春の覚醒/藤鈴呼
 

未だ空気の準備も 整ってはいないのに
或いは 穴が 開いたままだと
知っていて

葡萄のような黄色い実が
黍団子に思えて 仕方なかったのは
最近 良く見た キビタキの所為なのでしょう

名前が覚えられなかったから
そうしたのです

脳裏に浮かべた団子と滝が
幻想的にフラッシュバックされた
上目使いに記憶を弄ると
それは パチ・パチ と
暖炉の中を思わせた

軽く跨いだ薪も
もう 必要ないのです
メラメラと燃え続ける焔は
さにあらず
何時かのワタクシめの
嫉妬だったのでしょうか

目覚めよと 唱える代わりに啼く鳥を
地上に近い場所で 見つめている
空を
見上げても
空は
何処までも 遠く
何時までも 青かったから

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