春の覚醒/藤鈴呼
実も心も引き締まるような
しばれる風が 空気を切り裂く
雲が割れる理由は
大抵そんなことろだ
皆が転寝したくなる陽気に
瞳を見開いて
ヒラ 平 片と繋がる花びらと
雛と惑う親心を掌に乗せたら
警笛が響いた
それは 何処までも平衡な レールの代わりに
そして 何時までも均衡な 関係の終わりに
指が痛むほどの花びら
小さく解けた 赤い糸のように
花びらの形としては
もはや 存在しない
例えば ハート型だったりした夜は
若干の期待を寄せた
温もりの外では シーツが弾けた
それが 一つ目の合図
風船は認められて 飛ばされる夢を見る
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