乳白色の鍵/銀馬車でこい
 
ともすれば不思議な
雨だったけど
顔には暖かい斜陽を感じる

季節はずれの
天気雨がうっとりとして
雨の原石は記憶の中で
わずかにしっとりとしている

吐息よりも小さな音をたてて筒抜けになった
小漏れ陽の音は
こんこんと雲間から叫ばれていた
鋭い陽射しは真昼の月を見つけたときの
弾んだ喜びのように
こんこんと鼓動をかすめる

雲と雲のあいだ
小さな空は
絶望を避けようとしながら
点滅することもなく輝いている
未来にも似た陽射しは
直上を横たわっていた

その鍵穴は愛すべき
小さな青空だったのだ

太陽の陽射しは
すでに乳白色の鍵のようになっていて
雲の扉が 惜しげもなく開かれていた

小鳥たちが巣の中で
こんこんと眠り始める
陽の暮れるころには
傘を差したくなるぐらいに
幸せのかけらが
こんこんと降ってはこないだろうか

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