無題/michi
風の吹く日に外へ出れば、僕たちは開くものになる。その感覚を忘れないように、強く念じてみたりする。
「慣れ」という獣を君は知らないだろう。それは、好きな人の首筋に少しだけ味が違う部分があることを何とも思わなくさせたり、反対に、梅雨入りを迎えても片付け忘れられた鯉のぼりに、心を鷲づかみにされることを許してしまうのだ。
六月のドアを開ければ砂時計いつも抱きしめてる人がいる
無題という題がどれだけ美しいことかを伝えたくて会いにゆく
跨線橋から見下ろす草原の緑は、いつも君が眠っている間に作られる。どうかそれだけは覚えておいて。
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