ぼくはこのさきも花を育てることなどないだろう/ホロウ・シカエルボク
 



髪の毛でふざけるのに飽きたら
諦観をもってこちらにおいで
シャンソンはもう進化することはない
ただただ伝統のなかで呟いているだけだ


アンティークな森の向こうで遠雷が聞こえる
それはまるで
スクリーンを忘れたシアターのサウンド
ねえきみ、ぼくらの知らないところで、世界は
きれいさっぱりと滅亡してしまったのさ


今朝早く、ぼくらの胃袋を徹底的に侵攻した
珈琲の粉がキッチンでまだ自己主張している
じめついた雨のにおいも、そいつらが連れてくる空気も
かれらを黙らせることは決して出来ないのさ
それは細胞の奥まで染み込んでしまうんだ
言わば
具現的なライ
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