ブラックアップル/秋也
 
あれど最初の甘さはどこにもない

僕は確かに甘さを味わった
また甘さは欲しい
でももう味わった
「なんだこんなに甘いのか」

蛇は姿を変え黒く黒く闇に成り
人に堂々と取りつく
もう異形を隠す必要もない
「人の欲が無限であれば我らなどとうに駆逐されている」

神が用意した樹
取り忘れの果実ひとつ
闇より深く黒く実る
熟し腐り
地に落ちるまで
欲も朽ちて土に還れるのだろうか

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