水鳥の夢/春日線香
ねばと思っているうちに
家が没落してそれどころではなくなった
自分もいつしか死んでしまって
しかし幸いにも縁故の者のおかげで
墓に入ることだけはできましたという
穏やかに話してくれたが
それなりの苦労はあったのだろう
屋敷を出てしばらく歩くと川に橋がかかり
岸辺にぼろ布をまとった骨の姿がある
水鳥のように頭を浅瀬に突っ込んで
魚か虫かを捕まえるのに熱心なようだ
なんとはなしに眺めていると
どうやらそれは生き物を捕まえているのではなく
円い石を口で拾い集めて
川沿いに積み上げているらしい
いくつもいくつも
こんもりとした小山がきれいに並んでいる
そこでようやく目が覚める
窓の外は薄曇りでほんやりと暗く
妙に静かな朝である
夢の脈絡を整理しながら
自分で自分を供養するようなことが
どの世の中にもあるのだと両手で顔をこすり
しばらくそのままでいる
一羽の鳥が陽の光を浴びて
木立の上を飛んでいく
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