降るもの 3断章/新人さん
 
いかける

「列車はいつ着ますか?」

誰も答えない
駅員すらいない
ため息をついた瞬間ものすごいスピードで
風がこの駅を追い抜いた



思い出が降る
降り積もる
母が降る
雨が降る
真珠みたいな宝石が降る
空虚な価値観が降り積もっていく
意味のないものばかりが降るものだから
こうして黙っていれば溶けていくと思ったら
降り積もる
雪になって降り積もる
寒いさむいサムイのです
あまりにも寒い
寒すぎてもう動けません
僕はうずくまる

あの空の向こうから
こんなに思い出ばかり降るというのに

未来の約束はどうなっているのか

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