一十百千/春日線香
 
一夜に十ばかりの夢を見続けよ


坂下り真っ直ぐ一つの夢に入る

満月や蓋を開けたる箱一個

破船一つ夏至の最中を過ぎ行けり

からす瓜繁茂しており十の首

紫陽花や十児を抱く物の棲む

百を数えて数え終わらぬ五月闇

百穴に百の眠りあり竹の花

春の月或いは千年の不眠かな


十日夜の果てに一輪の菊を置き
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