かもめ/卯月とわ子
 
自由に首をつられた貴女の
瞳の中でパーティーを
このリズムなら踊れるでしょう
手を取り合ってフロアの中心へ
ゆらゆら揺れる手足には
綺麗な宝石を飾りましょう
ネックレスをしていた場所には
麻糸が食い込んでいる

最後のパーティーの最後のダンスは
足を縺れさせるほどのもので
真っ赤なドレスが良く似合っているよと
彼は言ってくれました
躓いてティアラを落としてしまったけれど
もう誰かの手がそれを拾ってしまったから
貴女の頭は少し淋しくなりました

広く黒い海を渡っていきましょう
泳ぐのも良し 飛び立つも良し
底に沈んでいく白い骨には気づかぬふりで
ふたりの自由とやらを味わう
貴女はやっと手に入れたそれを
誰かと共有するでもなく
相変わらずひとりで居たがる
彼はそれを知りながらなお
優しく微笑むのです
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