袋小路にて/
坂本瞳子
切ない刹那が押し寄せて来る
夕闇の蒼が蔓延する
冷えた空気が始める
黄昏の時刻(とき)
鳳凰は虹色の尾を誇らしげに振りかざし
人間(ひと)の体温を上げる
蝙蝠の雄叫びが遠くで響く
他の何者でもない
彼の人は現る
混沌(カオス)が堕ちてくる
不意に
足音も立てずに
後退りをするな
どうせ逃げられはしないのだから
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