白い頂のよう/ただのみきや
いくつもの門を通り
いくつもの問を越え
理解と誤解をなだらかに重ねては
綴り合わせる 欲望の道すがら
まるで古い雑誌の切り抜きや色紙を
ぺらぺら捲るような 陽気な悲しみ
目深に被り直して
淀みなく流れていたものが
矢庭に凍り
知らぬ間に蒸発する
過去から過去へ
翅あるものは何処へ?
飴色の殻に意識は残る
たとえ襖絵の向こうが煮えたぎる朝だとしても
この空虚こそ相応しい
あなたは遥か彼方の山のよう
辺りの景色は移ろうが
追い求めても一向に近づかず
いつまでも
あの白い頂きのよう
目に恋しく 涼やかで
果てしもないのだから
鳥も墜ちるばかり
ただ螺旋の 陶酔の中で
《白い頂のよう:2017年5月24日》
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