砂の夢/伊藤 大樹
 

私に類似した何かが増殖する
濡れそぼつ
海からあがり
意味もないのに
安ベッドの上で
獣の皮を剥いだ

砂の夢
あぶなくて
息をした
昨日の新聞を
やぶり捨て
もっとたくさん
向けなければならぬ刃物を
指折り数えた


白い逆光


砂の夢
あなたは 緑色の
血を流して つかのま、
の 断末魔
刹那、重力を忘れ
獣の皮を剥いだ
逃げたのは
わたし

あなたはきっと
まだあの部屋にいるんだろう
それが堪らなく おそろしく
いまでもときどき砂の夢を見る
きっとわたしは空腹なのだろう



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