首吊りの森/田中修子
ているのかもわからないの」
「どうして私の心の中の状態を、上手に言葉にできるの?」
「魂が双子なのかな」
一度だけ、私の法事の都合で遠方のその子に会えた。やさしいかおりにくるまれてほしかった。照れくさそうな笑顔の子で、会った二週間後に亡くなった。
携帯電話が通じなくなって、あ、まずい、と思った。手紙の住所から104で、彼女の実家を探し当てた。お母さんがでた。
「もしかして、あのいい香りの入浴剤をくださった方ですか? ありがとう、あの子は死にました。いいえ自殺ではありません-いままでたくさんの人に迷惑をかけたけれど、さいごは自然死だったので、まだ、よかったです」
(よかったって、なに
[次のページ]
戻る 編 削 Point(3)