首吊りの森/田中修子
追いかけてもゆく方向も分からない。ただ、ゆっくりと追いかけているうちに転ばなくなって、だからなのか骸骨だった体もいつのまにか肉と脂肪を取り戻していた。
青い蝶がなにを考えているか分からないが、首吊りの森につれこまれ、死者たちの寝息を感じても、悪い感じはしなかった。そこで私は眠りを取り戻した。どれほど寝たことだろう、数百年、数千年だろうか。ときたま不安になって薄目をあけると、蝶の青いあかりはホワリとそこにいて、また、ねむった。死者たちの揺れはゆりかご。
それなのに息苦しくて目が覚めたら今度は舌が飲み込まれようとしている。ン、ン、ン。
そろそろ首吊りの森を出なければいけないという合
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