喚き散らす肉/ただのみきや
 
を伸ばすわたしを
奈落の泥土へと誘うが
それすらもはや浅瀬にすぎず
沈むことすら叶わない


脆弱なまま強くなり過ぎた
死なない死体を担ぎ続けて
極地の氷が解けるように
わたしはわたしに入り混じりながら
あなたという異物に餓えている
心臓のように
空虚な痛みが通路になって
見えない戦車がやって来る
雲雀は歌う
伴天連の黒い切腹を
清々しい地獄の青さに




             《喚き散らす肉:2017年5月13日》










戻る   Point(13)