スイッチ/藤鈴呼
 


軍手もないのに
ベタベタの柱を触る作業は
非常に不愉快で

遠くを眺めると
さも気持ち良さげに飛んでいる姿が
一瞬で目に入ってしまったので
非常にムカツイタ

打ち付けるだけの雫が何度も割れて
輪になって踊った日々をも忘れた日

遠くに見える漁火が全ての合図
夕暮れのスイッチを探し始める時間帯

鳥は高いか
羽根は白いか
浪は花びらと化するのか

一生懸命 考えたのだけれど
終ぞ 答えなぞ 出ぬままに
溜息ばかりを 繰り返す

緩やかなカーブの底に
幾つもの哀しみが詰まっている

耀き始めた刹那
そは緑に
本来は 透明であるべき存在を
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