一人の女優に捧げる詩/ただのみきや
当たり前すぎることだから
素直に応じた
お椀に浮かべた麩のように
あなたはあなたに浸されている
――まるで 無い
ない みたい
家では
タツノオトシゴの溺愛
家庭は第二の子宮
疑う術のない頃から
学校では
殻も甲羅もないやわらかさを的に
まわりの子の礫が 易々と
楽しそうに 「気持ち悪い」と
虫の脚を?ぐような無邪気さで
ああ纏足(てんそく)! 首長族のリング! 養成ギブス!
纏わされたもので歪められながら
皮を剥がれて赤裸になりながら
自分が悪いと感じることで逃れようとした
生き続けるためには
死にたい気持
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