藤に鴉/TAT
 


既にやはり散り体だったが






それはそれで綺麗くて




































組まれた天井を辿り
アルミパイプに身体を任せて
寄りかかりながらしな垂れて




温泉街の朽ちたスナックのようだ



皆帰ってった朝の酒場のようだ





そして墨絵のような樹木の
その立ち姿よ





死にながら命を絡めて枝を伸ばすその姿は
どこかの切ない父親のようだ

元は文学青年で

末期の入院患者なん
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