燃えるものがない/燃やすものがない/五十嵐 敬生
 
ら重心を奪う
世界が歪んでいるのは
ぼくが追いつめられたからだ
時間が気絶し地上が天に墜ちていく
星屑に犯された脳髄よ!
ああ 天空に到達できないために狂うのは道化か!
深遠に起爆剤を注いで
この世の果てに消失せよ!
ぼくの最後の地点が滅亡し
滅亡が不滅を暴きだすとき
疲れた指先に蓄積された苦しみの千時間が
一瞬にしてぼくの爆発を完成し
ぼくは至福を見る

誰かが待っている
正確に待っている
ぼくの思考欠如の
苦しみの
彼方

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