フライング・ムーン/藤鈴呼
夕暮れの町並みには グレイが似合う
赤でも青でもない
喧騒を忘れた美しい光が 交錯する瞬間
それは シグナルだったり
少し早い 月の女神だったり
今 落ちんとす 太陽光線だったりもする
まやかしのように
響く トランペットの音
今 練習中だから
もう少し 経てば 上手くなるから
上手にハイハイできぬ 赤子のような笑顔を
ゆっくりと称えた少女が
三つ編みを ほどく瞬間
青白い雲が 横に流れた
大切な言葉を 耳から話す瞬間
ツツーッと流れる 雫の如く
振り返ってはイケナイ 瞬間がある
あの 消えそうな音の中に
どれだけの真実が
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