ポストの中以外では手紙は待たない/竜門勇気
ねえ君が隠してる
その箱の中身を見せて
お互いに間違いを
答えだと思い込む前に
憂鬱の正体は
途方もない長い時間だ
強く光る星を
回るだけのちからを
運命だなんて呼び合って
ねえ俺が笑ってる
この終わりすら笑って
ミツバチみたいに
自分を縫い付けていこう
心を自分だって決めつけて
身代わりにして傷つけてきた
疑わない他人を作り出していく
初めから曖昧な縄をなう
心から信じたものもなく
向かう場所の上に光る星すら知らない
怖れていた痛みにすら慣れた
凍りつかせてウジから逃れて
笑い疲れていく仕草が安寧の中に鳴り響く
ありのままの自分
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