朝食/はるな
愛している
眠りのふちに
ぶらぶら腰かけて
バタをべったりつけたパンに
蝶々をはさんだ夕食
さむい土地であなたは育った
そこではさくらも連翹も木瓜も
いっぺんに咲き
いっぺんに散っていく
若草色が登っていく山々に
ときおりふうわりと桃いろが置かれ
春の山、と言う
あなたは
わたしとはちがう空気のなかで育った
愛している
愛しているといいな
愛したいと思った
わすれたくないと思った
あらゆる間違いのなかで
それきり真実のような思いを
いまはもうよくわからない
幸福の裾は
すべるようになめらかで
いつまでも座っていられなかった
波はもう
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