神様の時間/青井
 
の賜物なのだが
その実 神はどこにもいない

ただ時間だけがある
壮大なまでに充実した空白
虫一匹 草一本 風一つない永遠の荒野
救いは無い 裁きも無い
神様はひとになんぞ目もくれない

電信柱の先端で頻りにカラスが鳴いている
犬が自動販売機の陰に小便をする
許されることも 報われることもなく
すべてはただそこにある
黄昏に広がる夕映えのように

夕餉の支度が待っている
明日は銀行に行かねばならない
種々の用事に生かされながら
できるだけ丁寧に暮らしを立てていく
時間とは流れ去るもの と自らに言い聞かせて

途方に暮れたままの足先で
訳知り顔の犬がくしゃみをした

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