デリシャス・メニュー/ホロウ・シカエルボク
気もふれるほどの青い影だった
心許ない残響音と
歯軋りのようなわだかまり
鴨居の端から垂れ下がり
口笛を吹いていた
ああ、闇雲に祈る娘よ
透明過ぎるのだ、お前のその
偽りの在り方をまだ知らぬ声帯は
舌を軽く齧り
そこから流れた血で経をしたためろ
そうして初めて
祈りは光を求める
脆い鼓動を植え付ける
妖かし屋の息遣いを聞きながら
渇いた記憶と泥濘んだ未来を
手当たり次第にバックグラウンドに放り込んでいる
ひとつ下のフロアーで死神たちの饗宴
酌み交わす杯の音だけがクリックのように聞こえる
淑やかな聖者たちのためだけの朝と
浅はかなあばずれたちのためだけに
[次のページ]
戻る 編 削 Point(1)