青春の記憶(小詩集)/宣井龍人
 
【人間になれなかった】
人間になれなかった
野原をひたすらつんのめり
海原を懸命に切り裂いた
だが
人間になれなかった
人間はずっと向こうにある
どこを走ったのか
どこを泳いだのか
時間の中を彷徨ったのだろう
だが
人間にはなれなかった

【七頁先の少女】
この身を焼き切るような夏
寒さに震えながら
布団にまるまったとき
七頁先を疑った僕だったけど
一日は確実にひとつずつ捲られ
水に遊ぶ少女の輝きがやってくる
この不思議な実感は何だ
同じ絵が同じ少女が
今生まれたかのように
生き生きと語りかけてくるではないか
七頁先の夏がやってきて
七頁前の冬がた
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