ゴー ホーム/ホロウ・シカエルボク
ぼんやりしている間にコーヒーは冷めてしまい
口に含むと金属の味がする
運動公園で催しが行われている
華やかな行進曲が薄曇りの空でこだまして
平均的な幸せの渇望たちに色を与えている
頑張れ、頑張れ
誰に向かって張り上げているのか
まだ幼さのある母親たちの声は
エンジンを弄ってあるらしい原付が
やたらに吹かしながら表通りを走り抜ける
誰にも受けない道化
顔の代わりに髪を塗りたくるピエロ
海に近い川の流れは
いつでも山を目指しているみたいに見える
その上を果てしなく吹き過ぎる
遠慮ない風に煽られて俺はくしゃみをする
激しい春が生活をなぶっている
風邪が酷くなる前に家に帰ろう
戻る 編 削 Point(1)